風の子
夕暮れを横目に家路を急ぐ少年。強い風が吹いてふと空を見ると、
少女が風に飛ばされていた。
少年は驚きのあまり自分の目を疑ったが、すぐさま走り出し、少女の手を掴んだ。そこでまた驚いた。
体の重さを感じられないほど少女は軽かった。手を離せば再び風に飛ばされていきそうなほどに。
飛ばされている間に物などにぶつかったりしたのか、体も傷だらけだった。
気を失っている少女は目を瞑ったままだったが、
手の感覚に気が付いてゆっくりと目を開けた。その瞳はまっすぐ少年を見つめる。
異様なまでのその存在に少年は声を出せず動けもしなかった。
ただ、その手だけはしっかりと掴んだまま、少女の瞳から離れられずにいた。
*
風に飛ばされている少女を見つけては、追いかけて手を掴む。
助ける理由は無く、ただ助けなきゃと思って行動する少年に、少女は理解ができない。
風に逆らわず物にぶつかって傷ついて尚、飛ばされていく少女に、少年は理解できない。
「風に逆らうと苦しいでしょ」と、少女は言う。
「物にぶつかると痛いでしょ」と、少年は言う。
2人は、会う度に話をした。
「おかしいな」
「おかしいね」
いつまでたっても理解はできないが、2人は話をする。
その時はなんだか楽しくて、おかしかった。
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という、話を考えてました。
何気に今年初の自由なイラスト……。忙しくて精神的に疲れてました。
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