風の子

   夕暮れを横目に家路を急ぐ少年。強い風が吹いてふと空を見ると、

少女が風に飛ばされていた。

   少年は驚きのあまり自分の目を疑ったが、すぐさま走り出し、少女の手を掴んだ。そこでまた驚いた。

   体の重さを感じられないほど少女は軽かった。手を離せば再び風に飛ばされていきそうなほどに。

飛ばされている間に物などにぶつかったりしたのか、体も傷だらけだった。

   気を失っている少女は目を瞑ったままだったが、

手の感覚に気が付いてゆっくりと目を開けた。その瞳はまっすぐ少年を見つめる。

   異様なまでのその存在に少年は声を出せず動けもしなかった。

ただ、その手だけはしっかりと掴んだまま、少女の瞳から離れられずにいた。



   風に飛ばされている少女を見つけては、追いかけて手を掴む。

助ける理由は無く、ただ助けなきゃと思って行動する少年に、少女は理解ができない。

風に逆らわず物にぶつかって傷ついて尚、飛ばされていく少女に、少年は理解できない。

「風に逆らうと苦しいでしょ」と、少女は言う。

「物にぶつかると痛いでしょ」と、少年は言う。

   2人は、会う度に話をした。

「おかしいな」

「おかしいね」

いつまでたっても理解はできないが、2人は話をする。

その時はなんだか楽しくて、おかしかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


という、話を考えてました。

何気に今年初の自由なイラスト……。忙しくて精神的に疲れてました。

Satsuki's storehouse

イラストを中心に創作活動をしています。 作品等の無断転載や無断利用禁止。

0コメント

  • 1000 / 1000